財政悪化の背景にあるもの
日本の健康保険制度は国民皆保険といわれます。健康保険は、自営業者や年金生活者が加入する国民健康保険、中小企業のサラリーマンが加入する協会健保(旧政府管掌健保)、大企業のサラリーマンが加入する健康保険組合、公務員や私学の教職員が加入する共済組合、船員組合、65歳以上75歳未満の人を対象とする前期高齢者財政調整制度、75歳以上の人を対象とする後期高齢者医療制度などによって、国民はいずれかの制度に加入義務があり、それぞれの構成員とされています。
近年、財政が悪化して医療改革が急務になっていますが、その理由の一つが健保組合財政の赤字だといわれています。
財政が悪化した原因としていくつか挙げられますが、第一に、国が老人医療への国庫支出金を引き下げたことで、健保組合から老人医療への拠出金割合が増加したこと、
第二にリストラや給料・賃金などが据え置かれていたことで保険料収入が大幅に減少したことによります。
過去、健保組合の加入者(被保険者)も減少した経緯があり、20年ほど前から現在までの財政悪化の主な原因は保険料収入の大幅減少だという声が上がっています。今後、急激に増加すると予想される老人医療費の支出急増はこの期間においては主な原因ではありませんでした。
また、旧政管健保では労働者の解雇増や非正規労働者の増加によって保険料収入の減少が赤字体質の要因となり、市町村国保も失業者や不安定な雇用を余儀なくされている者などの増加で同じように財政が悪化しています。山積みの財政の問題をこれからどうしていくのかは、私たちにも大きく関わってくることです。日本人はもっと積極的に政治情勢をみて関わっていく必要があります。